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2008年9月4日 更新 香川の老舗

使うほどに色つやを増す後藤塗。製品作りに生かされている家訓、「品良く、角無く、面白く」-宗家後藤盆 やや渋みを帯びた朱の色合いが、年数が経つほどに光沢のある明るい朱に変化していくのが特徴の後藤塗。宗家としての技と伝統を受け継ぎ、今年で125年目を迎える宗家後藤盆は、普段に使う器の中に「伝統の美」を表現し続けている。

祖・後藤太平は趣味人だった

後藤塗は明治時代に後藤太平(1850〜1923)が考案した漆塗りの技法で、香川漆器の一つとして知られている。同家は創設者の立場で今日までその技を伝え、現当主の後藤昌基さんで4代目になる。

祖である後藤太平は、高松藩士で町奉行だった後藤健太郎の次男として生まれた。「町奉行の父・健太郎は茶道を愛した人で、また著名な漆芸家の玉楮象谷とも親しかったそうです。町奉行という職務上、象谷が献上する品を一時預かっていたらしいんですね。そんな環境に育ち、太平は20歳ごろに漆の世界に興味を持ったそうです」と昌基さんは話す。太平は茶を親しんだ趣味人でもあったことからやがて中国風の骨とうや茶道具に興味を持ち、ノミやチョンナを駆使して、朱だけで仕上げた下げ重や下げ箱などを制作した。これが後藤塗の発祥で、趣味から始まった太平の漆器作りはいつか本業になった。

工程のほとんどは手作業

香川の漆工芸は藩政時代から、藩主の保護もあり発展した。1976年(昭和51年)には、きんま、存清、彫漆、後藤塗、象谷塗の5技法が、四国では初となる国の伝統工芸品の指定を受けている。きんまや存清、彫漆が芸術性を高めていったのに対し、後藤塗は使うことを第一の目的に作られ続けてきた。

宗家後藤盆では、日常使いの器などを作るのはもちろんだが、茶道具や茶事に関連した器などの制作も得意としてきた。一子相伝で受け継がれた技が特に生かされるからだ。
後藤塗は下地付けをせず、直接木地に漆をすり込んだり、塗ったりして完成させるところに特色がある。その塗りも一度ではない。塗っては室で乾かすという作業を何度も繰り返し、特に、よく練り合わせた朱の漆を刷毛で塗ったあとに直接手で漆をなでるように塗って、後藤塗独特の「おどり」という模様を生み出す。宗家としてのこだわりは「昔ながらの手練りです。一日かけて朱漆を練ります」という言葉にうかがえる。木地づくりは専門の職人の仕事になるが「木地づくりの段階から製品の意図を伝え、24ある製造工程すべてを納得のいくものにしたいと日々取り組んでいます」。現在同店では昌基さんの長女・孝子さんが5代目として修業中で、一家あげて制作にあたっている。

伝統の美を現代の暮らしのなかに

依頼主の注文に対して品を作るというのは、昔から変わらないスタイルだ。一般にお祝い事やお返し品などで使うことの多い盆も、値段や数などを相談し、納期に合わせて制作に取りかかるという。最近では、木地づくりの段階で少量への対応が可能になったことで、現代の生活サイズに合わせた依頼主の細かな希望にも添えるようになってきたという。

守るべきものと取り入れるもの。伝統の技を次代に繋げるという宗家としての立場を守りながら、時代の空気を取り入れる柔軟さを持つ同店。後藤塗の良さを次の世代にも伝え続けていくことだろう。

宗家後藤盆

  • 1883年(明治16年)創業
  • 1987年(昭和62年)有限会社に組織変更
住所 高松市麿屋町4-5
電話 TEL:087-851-0786
定休日 日曜
営業時間 9時〜18時

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