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2008年10月2日 更新 香川の老舗

「当たり前のことを当たり前に」伝統の技と誠実な姿勢が、百年以上愛され続ける老舗の理由-吉岡源平餅本舗 創業は江戸末期。看板商品の「源平餅」は明治中期に発売され、今も人気が続く。日々の暮らしの中で、冠婚葬祭という人生の節目節目で、何世代にも渡り同店の菓子とつきあう顧客も多い。長く続く秘訣は? 五代目の吉岡啓志さんに話を聞いた。

100年の伝統を誇る銘菓「源平餅」

文久2年(1862年)、高松市川部町で和三盆の卸問屋として創業。明治時代になり、市場に外国製の安価な砂糖が台頭し始めると和三盆の製糖業が衰退。それを受けて菓子店へと業種を変え店舗を井口町に移した。 看板商品の「源平餅」は、香川を代表する銘菓。明治中期に屋島寺の参拝客向けの甘味として製造依頼を受け、二代目が考案した。やわらかな舌ざわり、上品な甘みが独特な紅白の小さな餅。旅人の疲れを癒したであろうその味は人気を呼んだ。源氏の白旗と平家の赤旗になぞらえて「源平餅」との愛称で親しまれ、三代目が明治45年に商標登録した。

すべてはお客様の満足のために

代表取締役の吉岡啓志さんは五代目。薬科大に進み鳥居薬品(株)に3年勤めた後、帰郷し家業を継いだ。薬剤師としての知識を食品衛生に生かす。自店の他にキヨスク、空港売店、量販店、土産物店など県内50カ所に販路を持ち、営業を担当する。 「当たり前のことを当たり前にする。菓子作りも販売も。お客様に喜んでいただけるように」と吉岡さん。販売店への納品は持参が原則だ。売場に足繁く通う。手帳には店名と賞味期限がびっしり書かれ、一見すると真っ黒に見える。「賞味期限のある商品だから自分の目で確かめないと。店頭に古い商品が並ばないように。お客様を裏切らないように」。

その姿勢は、菓子作りにも根づく。例えば、餡作り。「甘さ控えめがいいという風潮がありますが、餡は甘みが命。昔ながらに窯で直火炊きをしています。直火で炊くと鍋と接する部分が焦げつつある。すると餡の甘みが出てコクが深くなる。よく『昔の味がする』とお客様に言われますが、昔から製法をほとんど変えていないからでしょう」。
昨今の原料高による製造コストアップは菓子店にとっても痛手だが、材料を変えず商品に転嫁しないよう企業努力を続ける。

一代でヒット商品を2つ作る

吉岡さんは「一代でヒット商品が2つ出来ればいい」と考えている。時間をかけて地道に育てる。20年前に発売した「まんで」シリーズがそのひとつ。果実まるごと一個を餡と羊羹で包むオリジナル。業界で最高の栄誉とされる全国菓子大博覧会で食糧庁長官賞を受賞した。地元産のキウイ・香緑を使った「まんでキウイ」はかがわ県産品コンクールで優秀賞に。「あとひとつ、私の代でヒット商品を出したい。源平餅をベースに新商品を考案中です」。

六代目、ただいま修行中

いま店では、吉岡さんの長男で六代目の宏記さんが菓子職人として修行中だ。大学卒業後、店に入り4年目を迎えた。菓子職人は”10年やって一人前“と言うが、宏記さんは「何年経っても、何十年経ってもずっと成長し続けないとダメだ」という強い思いで日々研鑽を重ねる。
「『菓子屋とでんぼ(おでき)は大きくなるとつぶれる』と先々代がよく言っていた。店を大きくしなくてもいい。地に足をつけてじっくりと取り組んでほしい」と吉岡さん。味へのこだわり、誠実な姿勢は、確実に次代へと受け継がれている。

吉岡源平餅本舗

  • 1862年(文久2年)創業
  • 1954年(昭和29年)有限会社に組織変更
住所 高松市井口町8-2
電話 087-851-9444
定休日 なし
営業時間 8時〜20時
駐車場 1台

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