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2009年3月5日 更新 香川の老舗

伝統と酒造りの原点を守りつつ、変化を続けて歴史を刻む-川鶴酒造 地元に愛され続ける老舗「川鶴酒造株式会社」。40歳の若き蔵元・川人裕一郎さんは、6代目就任以降を「第2創業期」と位置づけ、製造、販売、社内の意識改革にと手腕をふるう。香川を代表する酒蔵のこれまでと今後について話を聞いた。

多数の受賞歴。味と技術に定評あり

1891年(明治24)年、阿讃山脈から財田川へと流れる良質な伏流水と酒造に適した讃岐米に恵まれた観音寺市本大町で、「川鶴酒造」は創業した。初代当主は川人清造さん。その先代までは徳島県池田町で代々藍染め商を営んでいた。
古くから品質第一をモットーに、1960(昭和35)年には業界初の厚生大臣賞を受賞。全国新酒鑑評会においては現在まで、数多くの金賞を受賞し続け、酒質や製造技術の高さには長年に渡り定評がある。

先代社長の川人洋造さんは、敷地内の歴史的建造物を改装し、「資料館」などとして一般公開を開始。日本酒の歴史や文化の発信にも力を注ぐ。
現社長の川人裕一郎さんは、6代目に36歳で就任。東京農業大学醸造学科を卒業後、アサヒビールを経て国税庁醸造研究所で学び、1996(平成8)年に帰郷し入社した。川人さんの義兄で現専務の越田さんも同時期に入社。酒蔵に生まれ酒一筋の川人さんと、異業種出身で業界外からの視点を持つ越田さん。結束力固く、二人三脚で経営の舵を取る。

本物へのこだわりは、米作りから

同社の酒は「力強さに、喉越し、キレを兼ね備えた」酒質をコンセプトとする。「川鶴」「大瀬戸」「吉祥翔鶴」などの銘柄で知られている。出荷先は県内が約70%。残りは東京などの県外と海外へ。

「米の旨みを最大限に生かした酒質を目指しています。酒造りは米作りからと、10年前から自分たちで米を作り始めました。農家さんの苦労を知り、収穫の喜びを実感して感謝する。酒米作りは繊細で難しく、栽培方法を変えるといった実験も行っています」。田植えかや稲刈りにはお客さんや地域の人も参加し、毎年それを楽しみにする人も多い。

消費者視点の商品開発

高松国税局によると、香川県の清酒消費量は昭和54年度の1万4952kLをピークに減少傾向にあり、平成19年度は5201kL。食生活や嗜好の変化、酒類間競争、若年層の酒離れ・・・・・・市場環境は厳しい。
「創業時からずっとお客様に支えられてきた味があり、一方で食の嗜好の変化に合わせてお酒の味も変化し続けています。日本酒をあまり手に取らない若い人たちにどう訴求するかなど課題は多いが、お客様の意見を一番に、常に消費者の視点をもって酒造りをしています。うちの酒を飲んで笑ってくれる顔を見るのが何よりうれしい。“飲んでほっと疲れを癒して、さあ明日も頑張るぞ”という酒を造りたいと思っています」

顧客視点を第一に。さらに、戦略商品で新たなビジネスモデル構築を目指す。例えば、四季を味わう酒。仕込み直後から年間を通じて味の変化を楽しめる酒を市場に投入した。製造には手間暇かかるが、四季の味の飲み比べは日本酒ファンにとって大きな楽しみとなる。また、日本酒をベースにしたリキュールを4年前から製造し、好評を博している。今後は県産品の果実に特化した商品で、県内の農家~メーカー(同社)~流通~消費者へと地産地消につながる流通サイクルの構築も目指す。

「和醸良酒」で求められ続ける蔵に

これまで続けてこられたのは、地元のお客様の支えがあってこそ。それに尽きると思います。今後も必要とされる蔵にならなければ」と川人さん。そのための理念として「和醸良酒」を掲げる。良い酒を醸すには、蔵人が心をひとつにして取り組むという意味だ。「会社の皆が心をひとつにして、同じ目標に向かって酒造りをしなければ。それがパワーになる。先代から受け継ぐものに、隠し事は一切なし。技術は蔵でなく、人に伝えるものだから。今後もみんなで議論しながら旨い酒を造っていきたい」

会社の目標は「四国をとる」ことだ。社員全員が“ある程度見える”目標を定める。全国的にもレベルが高い四国でブランドロイヤリティを高め、「四国に川鶴あり」と評される蔵を目指す。
「歴史を刻むためには、変化し続けないといけない。守るべき味は守り、変えるべきところは勢いよく変える。原点を、感謝の心を忘れずに」。全社で知恵と努力を結集し、第2創業期にさらなる飛躍を目指す。

川鶴酒造

  • 1891年 川人清造さん、300石余の清酒醸造に着手
  • 1937年 株式会社川人一治郎商店に組織変更
  • 1967年 合名会社山本兄弟商会と合併、社名を川鶴酒造株式会社に変更
  • 2003年 川人裕一郎さん、代表取締役に就任
住 所 観音寺市本大町836
電 話 0875-25-0001
創 業 1891年
設 立 1937年
資本金 3000万円
代表者名 川人裕一郎
社員数 24人
売上高 非公表
見 学 月曜~金曜(祝日除く)9時~16時、1人200円
Webサイト 四国酒蔵88箇所巡りhttp://a-kiss.net/sake88/
四国内の酒蔵や地酒に因んだ札所紹介した酒蔵巡りのサイト。
1年間限定だったが、好評につき来年1月まで延長された。川人さんは香川県の企画委員をつとめる。

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