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2010年1月21日 更新 かがわ経済ナビ

若者とものづくり 20XX年―。J国S州の域内総生産は20兆円に達し、過去最高となった。域内人口もかつての予測に反して、まもなく500万人に届く勢いだ。出生率も2.0を超えた…。

こうした高成長と人口増の背景には、分権化政策とともに、「地方に人を」をスローガンに実施された分散化政策があった。これは、一極集中や都市過密が原因の、地球環境への負荷と国土の荒廃にこれ以上耐えられないと判断したJ国が導入したものだ。

まず、最初に取り組んだのが大学定員の傾斜配分である。大都市に集中する大学生を地方大学にシフトさせることにしたのだ。この結果、S州では留学生を含めて大学生が5倍に増えた。のみならず、都会の誘惑に溺れていた学生がせいひつな環境で学問や研究に打ち込み、大学発ベンチャーが続々と誕生した。

産業振興面では、企業が地方に立地する場合の大幅な税制優遇措置が採用された。これが、海外との競争力を回復させ、都市部に残っていた製造拠点の地方分散を後押しした。また、若年人材の確保を狙って、本社機能そのものを地方に移す大企業も出てきた。地元企業との連携も進み、S州に4つの産業クラスターが新たに形成された。

さらに、国民的大議論を経て、若者に農林漁業での就労を一定期間義務付ける「徴農制」が世界で初めて導入された。導入当初は徴農拒否をする者も現れたが、世界的食糧危機を経て徐々に定着し、期間満了後もそのまま農林漁業に就く者が増えた。制度導入を機に、S州は高付加価値の少量多品種生産に特化して成功し、加工品とともに国内外に「フード・アイランド」ブランドを確立した。

こうした政策に加えて、地域資源を活かしたS州自らの努力も大きい。特に、S州K区は、2010年に島々を舞台に開催された現代アートの祭典を契機に、外国人観光客の大幅な増加につなげた。国際航空路線も新設され、今や観光は地域の基幹産業に育った。J国を訪れる外国人には、「ART」と「FOOD」、それに「OHENRO」を加えたS州の巡礼ツーリズムが一大ブームとなっている…。

―2010年を迎えての、わが初夢である。

香川県商工労働部長 濱田 厚史

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