本文へジャンプ

【PRIME PERSON】ネバーギブアップ!「人生設計図」で強みを見つける - ビッグ・エス インターナショナル 代表取締役 大坂 靖彦さん

「何度も挫折した。それが今の自分をつくった」……非営利株式会社ビッグ・エス インターナショナルの社長 大坂 靖彦さん(65)は、言う。

自分の命日まで決めて、「人生設計図」を描いた。そして、その通り努力した。松下電器を辞めて家業の電器店をチェーン化、大型量販店へ。提携先を変えて「ケーズデンキ」の地域店として、四国四県・岡山・神戸に展開、37年かけて売り上げ339億円(2009年3月期)に育てた。
大学時代には海外にあこがれて、ドイツ語スピーチコンテストや留学試験を受けたが失敗した。しかしあきらめなかった。約1年間、ヨーロッパ二十数カ国をヒッチハイクした。さまざまな人との出会いが人生を変え、決定付けた。そのひとつが、前例のない、日独交流のための非営利株式会社だ。

人生の目標を思い描く

子どもの頃、両親の苦労を見て、電器屋だけにはなるまいと思った。客がいなくなって店を閉める終業時間のない暮らしだった。アメリカ映画を見てあこがれた。
「立派な家で、広い芝生の庭にプールまであって、同じ人間でこんなに違うのか、あの世界に身を置きたいと思いました」

学生の頃、出合ったポール・ジェイ・マイヤーの言葉が、生き方を決めた。「自分の思いを大きな紙に描きなさい。それと現実とのギャップを一つ一つ埋めていくと、人生は思い描いた通りになる」。その時の衝撃を今も覚えている。外交官か、世界中を股にかける商社マンになりたいと思った。

※(ポール・ジェイ・マイヤー)
米国の教育学者。保険会社セールスマンになり、27歳の若さで億万長者に。その経験を生かして「サクセス・モチベーション・インスティテュート」(SMI)を創設し、自己啓発教育を展開。世界23カ国語・80カ国で使われている。

ドイツ語受験で上智大学へ

高校時代(大手前高松高)、英語の成績はクラスの中ぐらいで、上智大学や東京外大はまず不可能だと思った。英語より易しいドイツ語で受験した。

「上智の入試問題に、各国語に訳せというのがあります。帰国子女の受験に配慮していたのでしょうか、中学レベルの日本語です。ドイツ語に訳して100点満点だったと思います」。当時の大手前高校は希望者にドイツ語を教えていた。大坂さんは1年生のときから勉強していた。

ネバーギブアップ

大学時代、ドイツへの往復航空券が賞品のドイツ語スピーチコンテストや留学試験を受けたが失敗した。「頭の良い人は奨学金をもらってドイツへ行く。今の自分には力と運がなかったが、追いついてみせる。金がないからヒッチハイクだ」

アルバイトで稼いだ300ドルをもって、横浜から船(バイカル号)でロシア(ソ連)に渡った。シベリア鉄道に乗った。「リュック一つの無銭旅行中心で、ヨーロッパからエジプト、インドまで。どこでもいろんな思い出ができました」。笑顔の目が輝いた。

ドイツで受けた恩

ドイツで、ホテルの皿洗いをして旅費をためた。観光ビザだから違法だった。警察に通報され、日本に強制送還されそうになった。

「ドイツにあこがれて、苦労してたどり着いた日本人に、帰れというのか……」。大声でどなったら、署長に事情を聴かれた。家にも泊めてくれた。「驚きました。その上、労働許可証を発行してくれたんです」。今もその許可証を大切に保管している。

人生の設計図

上智大学を出て松下電器へ入った。ドイツの駐在員になると約束して、妻の陽子さん(62)と婚約した。ドイツの駐在員にはなったが、帰国後、通算5年で松下を辞めた。「大企業の組織より、家業の電器屋を大きな事業にしてみたいと思ったんです」

「女房との約束を果たすためには、もう1度ドイツへ行くパワーがいるわけです。だからビジネスの世界で成功するしかなかった。それで人生の設計図を描いて実行したんです」

家を建てるときは誰もが熱心に設計図を描くのに、人生の設計図を作る人はほとんどいない………。大坂さんは、かけがえのない人生のために「人生設計図」が必要で、絶大な効果があると言う。

君はいつ死ぬのか。

大坂さんは、事業成長の工程表「経営計画書」を作って、社員と一緒に脱皮・変身・成長させた。ミニハウスや酒、米の販売、100円ショップ、パソコン教室など異業種にも参入、他の事業はその後止めたが、パソコン教室は生徒数2300人規模にまで成長した。ドイツとの縁は事業でも実を結び、ヒッチハイクでお世話になったワイン農家から、累計18万本のワインを輸入した。

「君はいつ死ぬのか」……大坂さんは社員に問いかける。人生を有意義にするには目的と目標が必要だ。それを実現させるためには「人生の設計図」を自分で描かなければならない……。

「一生会社にいますと答えると、それならやり手の店長になってもらわないと困る。そして、その上の役員を狙えと、元気づけます」。大坂さんは幹部社員を手作りで育ててきた。その原動力がマイヤーの人生成功哲学を元にした「人生設計図」+「経営計画書」だ。

人生の残り時間

「恩送り」とは、受けた好意を、施した人以外に返すことを言う。大坂さんがドイツで受けた親切を、日独友好のためにお返ししようと決めたのは、人生の残り時間が20年を切ったからだ。

「私の命日は2027年の4月4日です。元気に動けるのはあと10年。営利活動を卒業して、残された時間を恩送りに使います。そのために理事会が権限を持つNPO組織ではなく、社長がリーダーシップを持つ組織、非営利株式会社にしました」

2000年からドイツ語スピーチコンテストを主催。09年ドイツでも日本語のコンテストを始め、4月、日本に来たドイツ人が無料で宿泊できる施設、ドイツの館を高松市にオープンした。

「2011年は日独修交150周年です。記念の大イベントがドイツと日本でありますが、ベルリンの日本大使館で、第3回日本語スピーチコンテストと人生設計作文コンテストをやります」

45年後のチャレンジ

大坂さんの「人生の設計図」もいよいよ最終章だ。留学試験もスピーチコンテストも失敗したが、ヒッチハイクでドイツにたどり着いた。45年後のチャレンジは「恩送り」だ。

「弱みは捨てたものではありません。新しい強みを発見できます。『人生設計図』で学生や若い起業家に夢をかなえてもらいたいのです」。大坂さんの若者への贈り物は、「人生設計図」という戦略と、「ネバーギブアップ」というスピリッツだ。

日本初の非営利株式会社

前例のない「非営利株式会社」の設立は、一橋大学大学院の小松章教授の研究論文「非営利分野における株式会社の新しい可能性について」でも取り上げられた。

定款には、▽利益は内部留保するが配当しない▽利益は社会貢献団体、個人に寄付する▽解散する場合は、残余財産を株主総会の決議を経て、第三者的な団体あるいは、日独友好のために活動する個人に寄付する……などとなっている。

編入試験でも「合格設計図」

カレンダーの裏側に描いた「合格設計図」を見せてくれた。「次女の附属小学校編入試験のためです」と言う。

大坂さんは、東かがわ市から高松に引っ越して、2人の子どもに附属小学校の試験を受けさせたら、長女は編入試験に受かったが、次女はダメだった。

「お父さんの言うとおりにしたら、1年後に合格させてやると次女と約束しました。女房はそんな根拠のないことを子どもに言ったらいかんと怒りましたが……」

通っている小学校の成績を、「良い」から「大変良い」に。「悪い」は「良い」に、そのほか忘れ物をしないなど、合格の必要条件を次女に約束させて「設計図」に書き込んだ。

「体操は、逆上がりが出来ないので、夜近所の幼稚園で練習させました。出来た時、次女は泣きだしました。親に応えようと必死だったんですね。『合格設計図』を一つひとつ実行させて、翌年の編入試験に受かりました。設計図には絶大な効果があります」。大坂さんはうれしそうに笑う。

大坂 靖彦

大坂 靖彦
  • 1944年 浜松市生まれ
  • 1957年 さぬき市長尾小学校卒業
  • 1963年 高松大手前・中高等学校卒業
  • 1968年 上智大学卒業、松下電器産業(現パナソニック)入社、
    ハンブルク松下電器(ドイツ)へ海外研修生として派遣
  • 1972年 大坂屋(現ビッグ・エス)入社
  • 1988年 代表取締役社長
  • 2006年 株式会社ケーズホールディングス 常務取締役
  • 2007年 非営利株式会社 ビッグ・エスインターナショナル設立
  • 2009年 (株)ビッグエス代表取締役会長を退任・ケーズグループの全役職を退任
    非営利株式会社 ビッグ・エスインターナショナル代表取締役就任
  • 現在に至る
  • (公職)
  • 大阪ハンブルク友好都市協会理事

ビッグ・エスインターナショナル

所在地 オフィスドイツの館
高松市扇町2-6-5
TEL 087-823-2626/FAX 087-823-2623
http://www.bigs-i.com
東京オフィス
東京都港区高輪1-27-37-4501
TEL 050-5505-1006/FAX 050-5505-1006
設立 2007年
資本金 500万円
代表者 代表取締役 大坂靖彦
    (事業活動)
  1. 日本におけるドイツ語スピーチコンテストの実施
  2. ドイツにおける日本語スピーチコンテストの実施
  3. 日独青少年「青年の主張(志)・私の人生設計」作文コンテストの実施
  4. 日独交流に貢献した人や団体に対する活動資金の援助
  5. Deutsche Hütte(ドイツの館)の運営
    (文化交流、体験研修及びホームステイ宿泊施設の運営及び他施設との連携)
  6. 講演活動
    ・学校での人生設計プラン構築のための講演
    ・企業、団体での人生設計と経営戦略に関する講演
  7. 中小企業経営塾の運営
  8. ドイツ国際平和村への募金による支援活動
  9. 日独友好交流会(ドイツワインの集い)の実施

ページ先頭へ

ページトップへ戻る