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2010年1月21日 更新 香川の元気印!

2010年は、日本製家具のあり方が問われる年 - モリシゲ 国際競争が進んでいる。家具業界も例外ではない。海外の家具メーカーの日本進出が相次いでいる。デザインもさることながら、その価格の安さが話題を呼び、国内メーカーとの価格競争が本格化した。熾烈な競争の中で、あくまでも国内生産にこだわり、価格を下げずに品質で勝負を挑んでいるのが「モリシゲ」だ。コストカットではなく、品質を向上させることで消費者に満足してもらう。これがモリシゲの「ブランド力」である。これは、国際競争の中で会社を守るためものではなく、世界で闘うための武器である。

生活様式の変化とグローバル化

決して広くはない事務所の受付から2階のショールームに案内されると、まず、その広さに驚く。製造工場に併設されているそのショールームは奥行きがあり、高い天井とそこから入る外光がさらにその広さを際立たせている。

「今の生活様式にあった商品を作っています」と株式会社モリシゲの取締役で商品開発部長の山崎恒人さんは話す。生活様式の変化。これを象徴する一つの例が食卓、ダイニングテーブルだ。以前は、85センチから95センチだった食卓の幅が、現在では75センチから85センチが主流となっている。10センチ以上も小さくなっているのだ。背景には核家族化によるマンションでの生活、そして食生活の変化がある。こうした社会背景に加えて、日本の家具メーカーを取り巻く環境も大きく変わったと山崎さんは言う。以前は、本場の洋式に近づこうと業界が競って海外のデザインを取り入れてきたが、今では世界的にもこの洋式スタイルが当たり前、飽和状態になってしまった。この中で日本製品がどうあるべきかが問われているというのだ。

ライフスタイルに合わせて変えるものと守るべきもの

1944年創業のモリシゲのスタートは漆塗りの座卓だった。その後、67年に漆塗のサイドボードの通商産業大臣賞を始め、数々の賞を受けている。このため、モリシゲといえば漆家具のイメージが強いが、実は生産ベースでいうと漆家具は全体の15%程度で、85%は洋式と和式家具なのだ。この数字にも時代の流れと、その中で生き残ってきたモリシゲの努力と創意工夫が想像できる。

漆は紫外線に弱く、適度な湿度が必要だ。サンルームがあったり、冷暖房が効いている現代の住宅では、その取り扱いが難しくなる。このため販売の時に、漆の特性や扱い方を説明するなど消費者への啓蒙を行っている。また、製作側も取り扱いやすく、現在のライフスタイルにあったデザインにするなどの工夫も行っている。当然ながら漆塗りの家具は全て手作業で作られる。自然、収益面での問題がある。それでも漆家具を作り続ける理由について山崎さんは、「伝統を守っていくということともう一つ、家具の要素として美術的なもの、美しいものが必要だと思うんです。そのために伝統工芸を取り入れて『魅せる家具』も目指しているんです」と話す。さらに、「心にゆとりを持ち、生活に楽しさを感じてもらいたいですね」と加えた。この言葉がモリシゲのこだわりを的確に言い表しているように思えた。このこだわりが別の形でも現れている。
オーダーメイドの家具の注文が増えているというのだ。特にテレビキャビネットなどリビング周りの家具のオーダーメイドが増え、今ではキャビネット類の50%以上を占めている。山崎さんは、大量生産の商品が溢れ、家具にかけるコストが下がっている反面、他にない自分のもの、自分オリジナルといった消費者のこだわりが増していると感じるという。そして消費者がモリシゲを選ぶのは、漆家具と洋式家具を扱っているという理由からだそうだ。

品質、デザインでブランド力を高める

モリシゲの製品の特徴は、多品種少ロット。伝統的工芸品から始まって、和家具から洋家具まで実に529種の商品がある。これだけの商品を一社で製造しているメーカーは全国でも他にはない。だが、消費者の選択肢が増え続ける国内、国際市場の競争の中で勝ち残るための課題もある。その一つは「先入観」。モリシゲは漆家具というイメージが先行しすぎて、卸業者でも商品の認識ができていない場合があること。そしてもう一つは、際限のない価格競争にどう向き合うかである。

この解決方法として山崎さんは「ブランド力」を強調する。全ての商品が国内生産で、品質、デザインが優れていることをPRし、モリシゲブランドを高めていくことだ。具体的には、漆塗りの技術を他の家具の塗装にも生かし、色、つやはもとより、冷暖房の温度変化に対応できる仕上げを行う。また、椅子などは独自の強度基準を設けている。そして最大の問題でもある価格面については、「値段は変えない。しかし、品質は上げる」。これによって実質的な値下げをするのだそうだ。山崎さんは「使ってもらう以上、いいものを提供するのがメーカーの責任です」と語る。

こうしたこだわりが国際的にも認められ始めている。世界最大規模の家具の見本市「ケルン国際家具見本市」などで高い評価を受け、ロシアや台湾、中国への販売ルートができつつあるのだ。「2010年は日本製品、モリシゲ商品の価値が世界で問われる年です」と山崎さんは語った。大きな流れに流されず、信念を持って踏みとどまり挑戦し続ける力。これがモリシゲの目指す「ブランド力」なのかもしれない。

モリシゲ

所在地
高松市上福岡町855
TEL:087-861-0281/FAX:087-861-0279
http://www.morishige-furniture.co.jp/
創業 1944年1月
資本金 4100万円
社員数 135人
代表取締役社長 森 康一

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