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2010年2月4日 更新 動向リサーチ

緊急調査:全国52信用保証協会「緊急保証制度」利用状況 ~代位弁済は2259件、利用鈍化で15兆円が未消化~ 中小企業向け資金繰り支援のため2008年10月31日から開始された「緊急保証制度」が実質1年を経過した。東京商工リサーチでは11月2日から11月9日にかけて全国52信用保証協会(以下、保証協会)に、2008年10月31日から09年10月30日までの緊急保証制度の申込、保証承諾、代位弁済の状況を調査した。

申込状況は大半の保証協会が金額、件数ともに非公開とした。保証承諾、代位弁済の状況は49保証協会が今年9月末の実績を回答、10月末の実績を回答したのは3保証協会にとどまった。

今回調査で回答を得た「保証承諾件数」は75万7483件、「保証承諾額」は14兆6113億円。一方、倒産などで返済が不能となった企業への貸出金を保証協会が金融機関に弁済した「代位弁済件数」は2259件、代位弁済額は501億円だった。

保証承諾は件数、金額ともに関東が最多、四国が最少

地区別での保証承諾件数は、関東が27万5565件(構成比36.38%)と最も多く、四国が2万1216件(同2.80%)と最少。また保証承諾額は、関東が5兆6049億円(構成比38.36%)と最も多く、四国が3067億円(同2.10%)と最少だった。なお、1件当たりの利用額は全体平均1900万円に対し、近畿が約2200万円、関東が約2000万円、中部が約1900万円となっている。

代位弁済率が高い四国、低いのは北陸

企業が保証協会の保証付きで金融機関から資金を借り入れながら、倒産などで返済不能となり保証協会が肩代わりすることを「代位弁済」という。「緊急保証制度」の保証承諾件数に対する代位弁済率は全体で0.30%、保証承諾額に対する代位弁済率は0.34%とまだ低水準にとどまっている。

保証協会別では、件数で24保証協会(構成比46.15%)、弁済額では25保証協会(同48.08%)が全国平均を下回っている。地区別の件数では、四国が0.52%と最も高く、北海道0.43%、東北・中国各0.34%、九州0.33%の順で、最も低かったのは北陸の0.16%だった。弁済額では、四国が0.46%と最も高く、九州0.45%、北海道0.43%、東北0.41%、中国0.35%の順で、最も低かったのは北陸の0.13%。

緊急保証の利用ペースは鈍化、支援策の妥当性が今後問われる

「緊急保証制度」の効果が浸透し始めた今年5月以降、企業倒産の増勢に急ブレーキが掛かってきた。特に、8月以降は4カ月連続で倒産件数は前年同月を下回っている。

「緊急保証制度」の承諾件数を前月比でみると、09年1月~3月は月間10万件前後で増加し、年度末の3月には前月比で10万8370件も増加した。しかし、4月~7月は5万件台の増加ペースにとどまり、8月は4万5654件増にペースダウンした。年度上半期末の9月は再び5万2590件増に回復したが、10月は一気に3万4934件増と大幅に落ち込んだ。

10月は件数、金額ともに増加ペースは鈍化しており、「緊急保証制度」の利用が転換点に差し掛かった可能性もあり、今後の推移に注目する必要がある。

02年2月から07年10月までの景気拡大は、それまで最長だった「いざなぎ景気」を抜き戦後最長となった。しかし、景気拡大を牽引したのは都市部の大企業を中心にした輸出産業で、地方の内需型産業の中小企業は業績不振が続いていた。そこに08年9月、リーマン・ショックが発生し、借入過多に陥っていた中小企業は一段と経営が悪化した。

こうした中小企業向けの支援策として「緊急保証制度」はスタートした。しかし、1年を経過しながら保証承諾額が保証枠30兆円の半分にとどまっている。(09年10月)この要因としては、業績不振から新たな借入れは返済が難しくなることによる企業側の手控えと、急激な景気悪化で財務バランスを崩し審査で保証対象外となった企業が多いことが推測される。

株式会社東京商工リサーチ 四国地区本部長高松支社長 影浦 泰一

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