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2010年3月4日 更新 動向リサーチ

世紀を超えた企業に学ぶ『創業100年超え企業』シリーズ(2) ~100年企業と業種の変遷~ 100年超え企業は、どのような事業を営みながら現在に至っているのだろうか。



業種構成の違いにみる面白さ

2009年7月末時点における100年超え企業2万1015社について見てみよう。このうち、9933社、構成比にすると47.3%が卸売・小売業であり、極めて多い結果となっている。続いて、製造業を営む会社が5715社、構成比にすると27.2%となる。全国に存在する全企業のうち、卸売・小売業の割合は23.3%、製造業の割合は12.6%であるから、100年超え企業に占めるこの両業種の割合は突出している

勿論、昔はそれほど業種の多様性がなかったということもあるだろう。こうした視点で、現存する企業全体と100年超え企業との業種構成の違いを見ると色々と興味深い。ちなみに、卸売・小売業を更に分類してみると、100年超え企業に多いのは、繊維・衣服等の卸売、各種商品の卸売・小売等であり、「ものづくり」の国に於いて、昔から「もの」の流通が盛んであったことがわかる(表2-1)。

また、製造業に於いては、食料品製造、飲料・たばこ・飼料製造等が全企業の割合に比べて多く、比較的身近な「食」に関する「ものづくり」が多い。一方、電気機械器具や情報通信機械器具、生産用機械器具などの製造は100年超え企業には少なく、各種の”文明の利器“が新しく登場してきた様子や、製造工程が複雑化してきた様子が、こうした業種構成の変遷からも垣間見える(表2-2)。

卸売・小売業、製造業に見る県別の特徴

こうした「もの」の流通や製造における100年超え企業の活躍が顕著なのはどういった地域だろうか。県別に見てみると、卸売・小売業を営む100年超え企業が全体に比べて突出(出現率4.0以上)して多いのは、山形県、新潟県、滋賀県、京都府、和歌山県などである。また、製造業に於いては、同じく山形県、京都府、そして奈良県、島根県、香川県、高知県、佐賀県などである。食品の流通加工に必要な農産品を多く産出する地域、或いは古い名産品や由緒ある郷土の名物などがある地域は、卸売・小売業、製造業を営む古くからの企業もまた多いのであろう。

一方、全体に比べてこれらの事業を営む100年超え企業が少ない(出現率1.0未満)のは、卸売・小売業に於いては北海道、鹿児島県、沖縄県、製造業に於いては同じく北海道、沖縄県の他、埼玉県、神奈川県となっている。なお、両業種とも、100年超え企業の企業数だけを見れば、東京都、大阪府、愛知県、京都府に、いずれも300社以上が集積している。

(注)出現率:100年超え企業の構成比を、全体企業の構成比で割ったもの。

100年超え企業を彩る学校の多さと宗教の影響

流通、製造と並んで100年超え企業に多いのは「教育・学習支援業」、殆どが学校である。

日本で最も長い歴史を持つ学校法人は、立正大学学園である。天正8年(1580年)に、日蓮宗の教育・研究機関として飯高檀林の名の下に創設とされており(同学園ホームページより)、古来、宗教の存在感の大きさが見て取れる。ちなみに、日本で最も古い企業(各種宗教法人除く)が大阪府の株式会社金剛組(飛鳥時代、敏達天皇6年・578年創業)であるのは比較的知られた事実だが、同社にしても、歴史の始めは四天王寺の建設に携わった宮大工に由来している。更に、100年超え企業の中には稀と思われる「情報通信業」(113社、構成比0.5%)に分類されるうち、最古の企業は有限会社永田文昌堂(慶長年間創業)であるが、同社も数多くの仏教書籍を扱っており、宗教が人間の営みを様々に発展させる強い動機となっていることが窺い知れる。

100年超え企業に占める建設業の比率は低い

現在の企業全体では数が多いが、100年超え企業にはあまり見られない業種もある。各種の専門サービス業や前述の通信産業などがその代表格であるが、全体数として目立つのは建設業である。100年超え企業の中にも先の金剛組のように社寺建築等を請け負う企業は存在し、総数としては1869社、全体の8.9%を数えるが、現存する企業全体ではその数は50万7548社、全体の23.8%を占める。これは、製造業や卸売・小売業を抜いて、現在の日本における企業数が最多の業種となっている。ここにも現代日本のひとつの特徴が如実に表れている。ちなみに、県別に見た場合に建設業を営む100年超え企業が最も多いのは東京都の174社、次いで新潟県の117社、京都府の100社である。

株式会社東京商工リサーチ 四国地区本部長高松支社長 影浦 泰一

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