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2010年3月18日 更新 かがわ経済ナビ

まちの寛容度 先日、大西秀人高松市長のご講演を拝聴する機会があった。明快で示唆に富む内容だったが、その中で米国の都市経済学者リチャード・フロリダの「クリエイティブ都市論」に触れておられたのが印象に残った。

フロリダは、都市の成長は創造性によって経済的付加価値を生み出す人々~彼はCreative Classと呼ぶ~の集積如何にかかっている、とする。Creative Classには科学者や法律家、芸術家だけでなく、工場の生産現場で工夫を重ねる技術者や、オフィスで大量、多様な情報を巧みに処理していく秘書等も含まれる。自分の力で新しい道を切り開いていく人々、と言い換えられるかも知れない。

こうした人々が集まり、発展していく都市の要素として、彼はTechnology(ハイテク産業)、Talent(才能)、そしてTolerance(寛容)という3つの”T“を挙げる。この3つはそれぞれ密接に関連し合っているが、中核となるのは「寛容」だろう。

都市の寛容度を測る指標の一つとして同性愛者(いわゆるゲイ)の集中度を使っているのにはいささかたじろいでしまうが、異質な考えや生活スタイルを持つ人々をおおらかに受け入れ、多様な人々の自由な活動を許容するまちこそ、斬新な発想を生み出し繁栄する、という主張には説得力がある。

高松は港町である。港町こそ様々な人々や物が行き交い混じり合う場所、寛容度の非常に高い土地であるはずだ。実際、高松は江戸期、宇高連絡船時代、そして今も、四国の玄関口として多様な人々を温かく受け入れてきている。地元住民と、いわゆる交流人口との接触によって栄えてきたまちなのだ。

交流人口獲得を巡る地域間競争は熾烈になる一方である。来年春には九州新幹線が全通する。伝統的に四国とのつながりが深い関西地域が、南西九州と陸路で直結するわけだ。影響は無視できまい。

今年夏に開かれる瀬戸内国際芸術祭。島の住民をはじめ地域の人々が現代アートに触れ、芸術家とともに過ごす、これは寛容度の高い地域でなければ不可能なことである。高松、そして香川の皆さんが、芸術祭を通じて持ち前のToleranceに磨きをかけ、交流人口争奪戦で優位に立たれることを心から期待したい。

日本政策投資銀行 四国支店長 藤田 寛

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