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2010年3月18日 更新 動向リサーチ

世紀を超えた企業に学ぶ 『創業100年超え企業』100年倶楽部シリーズ(3)~あなたの街の100年企業(四国編)~四国地方に存在する創業100年超え企業は911社。100年超え企業全体の4.3%を占める。数こそ少ないが、存在する全企業のうち四国地方に存在する企業の割合が3.0%であるのに対し、創業100年超え企業全体のうち四国地方に存在する100年超え企業の割合は4.3%であり、出現率は1.43と高いことが分かる。ちなみに、この出現率は全国でも東北地方に次いで2番目の高さである。つまり、100年超えを果たしている企業の割合が多いということである。同地方内では、全企業のうち、1.4%が100年超えを果たしている。

四国地方の100年超え企業の割合は全国2位

県別に見ると、最も多いのは香川県の314社、四国地方全体の34.5%を占める。次いで、愛媛県の274社、構成比30.1%、徳島県の187社、同20.5%、高知県の136社、同14.9%となる。続いて、出現率で見ると最も高いのは香川県の1.25、最も低いのは高知県の0.80である。

業種別では、卸売・小売業が400社と最も多く、全体の43.9%を占める。次いで製造業が32.1%と構成比を占め292社となっている。全国の100年超え企業よりも若干製造業の割合が多く、卸売・小売業の割合が少ないが、この2業種については大きな傾向は変わらない。

四国地方に多いのは漁業、及び鉱業・採石業・砂利採取業である。前者は、全国の創業100年超え企業で漁業を営む全43社のうち5社が、後者は同様に全国で鉱業・採石業・砂利採取業を営む企業全25社のうち6社が四国地方に存在する。

(注)出現率:創業100年超え企業の構成比を、全体の構成比で割ったもの。

四国地方最古の企業は愛媛県の(株)シンツ

四国地方の創業100年超え企業のうち、最も古い企業は愛媛県の(株)シンツ(天正年間・1573~1592年創業)である。創業は回船問屋として天正年間に始まるとされ、現在の宇和島市栄町港に存在した新津藩所の管理に功績を認められ「新津」の屋号を称するに至ったという。現在では、食品飼料や建築材料等を扱い、2007年11月に合資会社新津商店から現社名へと変更を行っている。

四国における最古の企業第2位は愛媛県の名門サカイ(株)(文禄元年・1592年創業)、第3位は徳島県の馬居化成工業(株)(慶長4年・1599年創業)である。同社は、化学品製造業・無機化学薬品商社を営むが、もともとは、慶長4年に、当時の阿波藩主(蜂須賀家政公)により播州から 招致された製塩技術者の馬居七郎兵衛が"鳴門に塩田を開拓"製塩業を創始したことから始まったという。製塩技術が長い歴史を経て昇華され、化学品メーカーとしての発展に繋がった。ちなみに同社は硫酸マグネシウム生産量・シェアにおいて日本でナンバーワンの企業である。四国における最古の企業第4位は、愛媛県の後藤酒造(株)(慶長7年・1602年創業)である。「久米の井」等のブランドを有し、愛媛の地酒として親しまれている。

特色豊かな最古の企業たち

県別に最古の企業を見てみよう。徳島県に於いて馬居化成工業(株)に続くのは、(株)若林(寛永10年・1633年創業)である。かばん、ハンドバック等の小売を営んでいる。贈答品を扱う(株)桜木房次郎商店(元禄元年・1688年創業)とともに、徳島県の第2位、第3位はいずれも小売業が占めている。

香川県に於いては、最古の企業はいずれも製造業である。しかも、全て高松市に集中している。香川県最古の企業は、(有)三好商店(慶長15年・1610年創業)であり、うちわ・扇子・ちょうちんなどの製造を行っている。何とも老舗らしい風情である。次いで、(株)和泉商会(寛永10年・1633年創業)、太田石材(有)(寛永年間・1624~1644年創業)と、いずれも石工品製造が続く。香川県の庵治地方は日本三大石材産地として知られ、ここで産出する花崗岩の一種である庵治石は、最高級の石材として墓石、また彫刻や灯籠などに用いられ、丈夫で美しい光沢で有名である。

愛媛県においては、先述の(株)シンツ、次いで名門サカイ(株)、後藤酒造(株)が古く、第4位は五色そうめん(株)森川と(株)ハリキチ(いずれも寛永12年・1635年創業)となる。五色そうめん(株)森川は、松平定行の松山赴任に従って移り住んだ長門屋市兵衛を創業者とし、五色のアイディアは「享保7年(1722年)、八代目市左衛門の娘が椿神社への参拝の折、美しい五色の糸が下駄に絡みついたのを見て、父親に「そうめんに五色の色をつけてみては?」と進言したのがきっかけ」であるとされる。長い歴史を誇る企業には、頑なに何も変えない、という企業よりも、自社の製品を柔軟に時流に合わせて変化させていく企業が多い。こうした100年超え企業の特色を認識させるような由来である。

高知県最古の企業は司牡丹酒造(株)(慶長8年・1603年創業)。1人当たりの酒類販売(消費)数量が東京都に次いで全国第2位の、高知県の特色を如実に示す顔ぶれである。社名でもある司牡丹は、同地出身の維新の志士、明治新政府の宮内大臣も務めた田中光顕伯爵が愛飲し、「牡丹は百花の王、さらに牡丹の中の司たるべし」と命名したことによるという。高知県では、次いで(有)西川屋老舗(元禄元年・1688年創業)が古くからの歴史を有する。同社は、小麦粉を練って薄く延ばし細く切った「ケンピ」とよばれる高知銘菓の製造業である。第3位は酒造業で土佐鶴酒造(株)(安永2年・1773年創業)、第4位も酒造業で(有)西岡酒造店(天明元年・1781年創業)。清流で知られる四万十川源流域の自然環境に恵まれた地域に位置し、「純平」「久礼」など、こだわりの酒造りにいそしんでいる。

株式会社東京商工リサーチ 四国地区本部長高松支社長 影浦 泰一

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