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【PRIME PERSON】経営者の目は、異業種の目 - 四国コカ・コーラボトリング 代表取締役社長 倉田 泰さん

「残念です。245円の商品(2リットルの水)が88円で売られている」・・・・・・不況で市場が縮小した。清涼飲料各社の激しい価格競争で、ブランド商品が量販店の目玉商品になった。定価販売で利益が出る自販機の売り上げも落ちた。

清涼飲料のトップブランド、コカ・コーラを支えるボトラー会社の業績が低迷している。日本製紙(株)の専務だった倉田 泰さん(63)は、経営支援のため完全子会社化した四国コカ・コーラボトリング(株)の代表取締役社長に、今年3月25日就任したばかりだ。

「消費者の反応がすぐ返ってくるのが面白い」。製紙会社で数千億円の原材料を海外から買い付けてきた倉田さんは、新しい設備投資と業績改善に「異業種の目」で取り組んでいる。

※(ボトラー)
清涼飲料製品を製造し販売する会社

新社長の使命

「水が130円もする、ガソリンより高いじゃないか。こんな馬鹿な話は無い」。倉田さんはこの業界に入る前に、そう思っていた。

「水を無菌状態でペットボトルに詰めて、消費者まで届けるにはコストが掛かるから、2リットルを88円で売られたら完全に赤字です。ここへ来て分かったんです」

四国コカは、コカ・コーラ社製品を四国四県で製造販売している。シェアは約30%で四国ではトップだが、ここ数年、経営環境は悪化している。倉田さんの使命は、飲料事業で安定収益を確保して、企業価値を高めることだ。

しかし、事業規模のあまりの落差に戸惑った。「石炭やオイル、チップや古紙を数百万トン規模で買ったり、南アフリカ、オーストラリア、南米で植林地を造ったり、これまでは数千億円単位のビジネスでしたから」

四国コカは、1本100円単位の清涼飲料を458億円(2008年度)売り上げる。「四国内と限定された市場で、約1700人もの人を使って小さな数字を積み重ねて、なかなか利益が出ない。大変です。でも、出来ないことだとは思いません」。明快な話し方から自信と確信がうかがえる。

※(数千億円単位)
日本製紙グループの輸入原材料は約4千億円:2009年3月期

※(1744人)
四国コカの関連会社を含む従業員数:2009年12月末現在

「当たり前」に課題が見える

大きな組織の、製紙会社の原材料買い付けは、消費者との距離が遠い。「だから、自社の商品を直接売買する楽しみは、感じなかったですね。清涼飲料事業は、販売の苦労や成果がまぢかに見えるので、やりがいがあります」

倉田さんは社員によく質問する。「これどうなっているの。なぜこうなの」と聞くと「いやぁ、昔からこうしていますから」という返事が返ってくることがある。

「畑違いから来た素人の、的外れの質問ということでしょうが、経営環境の悪化は、短期間に起きたことだとは思いません。だから聞くんです」

「異業種の目」は、「当たり前」の中に課題を見る。ルーチンワークに追われていると、変化への対応は難しい。仕事のやり方を根本から変えたり、長期的な展望を描いたりするのは後回しになり勝ちだ。

「異業種の目」だからこそ、会社を変えることができる・・・・・・倉田さんの目は語りかけている。

※(ルーチンワークは創造性を駆逐する)
意思決定のグレシャムの法則の趣旨

あらゆる機会をとらえて、学んでいるか

倉田さんは、ある尊敬する経営者から学んだ教訓と信念を、十戒に込めて社員全員に伝えている。

「仕事にほれ込み、打ち込んでいるか。摩擦を恐れず、言うべきことを言っているか。あらゆる機会をとらえて、学んでいるか」・・・・・・よい仕事をするための十戒だ。「異業種の目」を吸収してルーチンの殻を破るための、社員へのエールでもある。

よい仕事をする人、よい仕事をする組織の十戒(要約)

  1. 仕事にほれ込み、打ち込んでいるか。
  2. 志が高く、より高い目標に情熱を燃やし、挑戦しているか。
  3. 問題・課題を常に真剣に考え続けているか。
  4. 五感を研ぎ澄まし、感性を磨いているか。
  5. 事実を優先し、現場・現実主義を実行しているか。
  6. 外への目配りが強く、一旦立てた計画に安住していないか。
  7. 基本的なこと、当たり前のことがきちんと手早く出来ているか。
  8. 摩擦を怖れず、言うべき事を言っているか。
  9. NO ERRORではなくNO PLAYのほうが問題である。
  10. あらゆる機会を捉えて、いつも何かを学んでいるか。

関連会社から完全子会社へ

四国コカ・コーラボトリングは、09年10月1日、日本製紙グループ本社の関連会社から完全子会社になった。管理部門の共有や、製造工場の操業ノウハウの吸収など、経営基盤の強化が狙いだ。

「四国コカで使う甘味料の原料はでんぷんです。製紙会社では20万トン買っていましたから、ここで使う7千トンを一緒に購入すれば、統合効果はすぐ出てきます」

設備投資にも親会社が大きな力を発揮する。「今回の設備投資プロジェクトは、前の橋本建夫社長が検討していたものを、僕がリーダーとして実現します。これも子会社化効果の一つです」。投資額は約47億円。四国コカにとって、創業以来、規模としては2番目。小松第2工場(愛媛県西条市)の生産設備を増強して、年間9億円のコストを削減する。来年3月の稼動を目指して今年2月に着工した。

「コカ・コーラグループでは初めての試みです。一つの製造ラインで、280ミリリットルから2000ミリリットルまでの炭酸飲料、茶飲料、スポーツ飲料、水などを、多品種少量生産できる最新鋭のシステムです」

容器メーカーから買っていたペットボトルも自社製造する。他のボトラーから調達する飲料も少なくてすみ、業績改善への画期的なエポックになる。

小ロットビジネス

生産ラインの大変換にはリスクが伴う。多品種少量生産は単一大量生産より効率が悪いから、どこのボトラーもやりたがらない。

「小ロットの設備投資に何十億もかけるよりも、他から買った方が安くつく場合もあります。ですから他のボトラーに売る小ロットビジネスも視野に入れています。これまで仕入れ先だったボトラーも、私どものお客さんになるわけです」。多品種少量生産システムは、小さな市場が商圏の、四国コカ独自の発想だ。

状況は常に変わる。毎日が勉強だ。「知識や経験をいっぱい持っている人から学べるのは楽しい」。倉田さんは、四国コカの新しいスタートに「異業種の目」を輝かせる。

※(ロット)
製造時の最小製造数単位。

二つの親会社

四国コカには親会社が二つある。ビジネスの本社は、アメリカのザ コカ・コーラ カンパニー本体が経営する日本コカ・コーラ社で、資本の本社は日本製紙グループ本社だ。

「山崎豊子の小説『二つの祖国』と同じで、日本とアメリカに本社がある特殊でおもしろい会社です」

倉田さんはやりたいことがある。「ご当地ラベルの開発です。石鎚(いしづち)の水の『い・ろ・は・す』とか、四国の原材料で作った飲料です」

倉田さんは、自分で作ったものを自分で買う楽しみを、是非味わいたいと思っている。

”四国コカ・コーラボトリングの思い“ =Live Positively= 四国を元気にしたい! 四国をプラスにまわそう!

08年、ザ コカ・コーラカンパニーはコカ・コーラシステムが世界中で持続的に成長し選ばれる企業であり続けるための新しい事業指針「Live Positively(リブポジティブリー)=世界をプラスにまわそう」を全世界で導入いたしました。

当社もその指針のもと、四国という地域社会の一員として、清涼飲料を通じて地域の皆様の健やかで活動的な生活を応援しています。環境保全活動やスポーツ文化活動の社会貢献活動を推進するとともに情報開示や従業員に対する働きやすい職場作りなど、多くのステークホルダーの期待に応え、地域社会にともに持続的に成長する「信頼され、必要とされる企業」をめざし、当社の社会的責任を果たしてまいります。

倉田 泰

倉田 泰
  • 1971年 京都大学 農学部卒業
    大昭和製紙(株)入社
  • 1995年 同社財務部長
  • 1997年 同社取締役財務部長 不動産部担当
  • 2003年 日本製紙(株)取締役企画本部長代理兼海外部長
  • 2005年 同社常務取締役中国事業推進室長
  • 2006年 同社常務取締役原材料本部長
  • 2008年 同社専務取締役原材料本部長
    (株)日本製紙グループ本社 取締役原材料管掌
  • 2009年 四国コカ・コーラボトリング(株)常勤顧問
    同社取締役副社長 社長補佐
  • 2010年 同社代表取締役社長
  • 現在に至る

四国コカ・コーラボトリング

所在地
高松市春日町1378
TEL 087-841-9191/FAX 087-841-5292
設立 1963年
資本金 55億7613万6千円
売上高 458億円5100万円(2008年度)
株主 (株)日本製紙グループ本社
正規従業員数 379人(2009年12月31日)

沿革

  • 1963年 四国飲料(株)設立
  • 1963年 8月 高松工場竣工 操業開始
    四国コカ・コーラボトリング(株)に商号変更
  • 1970年 小松工場(現・小松第1工場)竣工 操業開始
  • 1992年 高松工場閉鎖 小松第2工場竣工 操業開始
  • 1993年 大阪証券取引所市場第2部上場
  • 2000年 9月 大阪証券取引所市場第1部銘柄指定
  • 2000年 11月 東京証券取引所市場第1部上場
  • 2007年 本社新社屋竣工
  • 2009年 9月 東京証券取引所市場第1部上場廃止
  • 2009年 10月 (株)日本製紙グループ本社の完全子会社

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