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2010年4月15日 更新 かがわ経済ナビ

役員への経済的利益の提供について 役員への経済的利益供与とみなされる場合には役員賞与となる場合もあり、会社の損金にならないばかりでなく、役員個人にも給与所得として課税の対象となりますので注意が必要です。今回は経済的利益として注意すべきケースを幾つか例示します。

(1)社宅

適正な家賃を徴収していない場合は、実際家賃との差額が経済的利益となります。例えば、差額が月額2万円とすると、年間24万円が役員給与及び受取家賃となります。この場合の役員給与は、家賃相当額として毎月変動することはないので定期同額給与としてみなされ、会社側では損金算入できますが、役員個人では給与課税を受けることになります。

適正な家賃とは、1.豪奢な住宅、2.小規模住宅以外の住宅、3.小規模住宅(木造家屋132m2、その他99m2以下)の場合で計算が異なります。

役員の社宅家賃の適正額の計算

1. 豪奢な住宅
    (家屋の床面積240m2超のうち住宅の取得価額、支払賃借料額、内装等の状況で総合的に判定)

通常支払うべき使用料(一般に賃貸される場合に授受されると認められる賃貸料)の水準

2. 小規模住宅以外の住宅

1)法人所有の社宅の場合
月額賃貸料相当額=純家賃相当額(月額)+地代相当額(月額)
・家屋の固定資産税課税標準額×12%(木造家屋以外は10%)÷12=純家賃相当額(月額)
・敷地の固定資産税課税標準額×6%÷12=地代相当額(月額)

2)借上げ社宅の場合
借上げ社宅の賃借料として支払う額の2分の1相当額と、1)での計算額のいずれか多い金額

3. 小規模住宅 (木造家屋132m2、その他99m2以下)

1)法人所有の社宅の場合
月額賃貸料相当額=純家賃相当額(月額)+地代相当額(月額)
・家屋の固定資産税課税標準額×0.2%+12円×家屋の総床面積(坪数)=純家賃相当額(月額)
・敷地の固定資産税課税標準額×0.22%=地代相当額(月額)

2)借上げ社宅
法人の支払賃借料にかかわらず、1)の計算額による。

(2)渡し切り交際費

役員に対して機密費、接待費、交際費、旅費等の名目で支給したもののうち、法人の業務のために使用したことが明らかでないもの(領収書等で精算しないもの)は役員への給与となります。この場合でも毎月定額により支給される渡し切り交際費は、定期同額給与としてみなされますので損金算入できますが、役員個人の給与として課税されます。

(3)会社負担の生命保険料

法人が役員を被保険者とし、受取人を被保険者(役員)の遺族とする生命保険契約において、その生命保険料を負担した場合は、毎月の保険料は定期同額給与となり、損金算入できます。年払いの場合には一時的な支出となり賞与と思われがちですが、「継続的に供与される経済的利益」として月額と同様の扱いとなります。

(4)海外渡航費用

役員の海外渡航費が役員賞与とならない条件は、法人の業務遂行上必要であり、かつ、当該渡航のため通常必要と認められる部分の金額であることです。

1. 業務の遂行上必要な海外渡航に該当しないもの

形式基準 実質的判断
観光渡航の許可を得て行う旅行 特定の取引先との商談、契約交渉締結等のように実質的に業務の遂行上必要と認められる場合は、旅費として損金となる。
旅行斡旋を行う業者が行う団体旅行に応募してする旅行(パッケージツアー等) その旅行先で一時的に別行動をとり、現地の取引先と商談などをした場合は、その業務に直接要した費用は、損金となります。
国内からの往復運賃等は認められませんので要注意です。
同業者団体等が主催して行う団体旅行で主として観光旅行と認められるもの  

2. 同業者団体等が行う視察のための団体による海外渡航

通常要する旅費に損金等算入割合を乗じた金額が損金として認められます。
損金等算入割合とは、業務従事割合(視察等の日数÷{視察等の日数+観光日数})を基礎とした損金算入割合
損金等算入割合が90%以上の場合は、全額が損金算入されます。10%以下の場合は全額が損金不算入となります。
なお、業務従事割合が50%以上の場合は、往復の旅費の額全額と旅費以外の額×損金等算入割合が損金として認められます。

(5)自家用車を社用に使う場合の賃貸料

適正な月額賃借料は個人の雑所得となり、適正な月額賃借料を超える金額は役員への給与(毎月定額であれば賞与にはなりません)となります。適正な月額賃借料は車両の減価償却費、自己負担の保険維持修繕費及び金利相当額を基礎とし、社用と自家用(休日の個人使用)の割合によって合理的に算定する必要があります。毎月一定額を支給する場合と、社用走行距離に基づき計算する場合(キロ当たり単価にて)いずれにおいても合理的であれば良いと思われます。

(6)病気見舞金

病気見舞金は、社会通念上相当と認められる場合は給与とはならず、受ける個人も非課税となります。しかしながら、過大な金額を支給した場合は、役員賞与となり法人サイドでは損金不算入となり、役員個人は給与課税を受けます。社会通念上相当と認められる金額はケースにより異なると思いますが、従業員慶弔見舞金規程とともに役員慶弔見舞金規程を定め、入院日数の程度に応じて一定の上限内で定めておくことが望まれます。

(7)旅費日当

出張に際して交通機関や宿泊料に加えて、日当を支給する場合があります。日当はあくまで出張に際しての諸費実費の補てんが目的ですから、実費相当を著しく超える日当は役員賞与となる恐れがあります。従業員出張旅費規程とともに役員出張旅費規程を整備し、規程の基づく日当支給が必要です。日当の適正額は、出張先、役員のクラス、会社規模等により判断することになるでしょう。

(8)永年勤続表彰

10年以上勤続した役員(従業員も同様)に5年以上の間隔をおいて表彰する場合に、記念品の支給や旅行の招待が行われえる場合があります。社会通念上相当と認められる範囲で課税はされません。もっとも記念品に変えて、金銭や商品券を支給する場合は賞与となります。

旅行招待の場合は、旅費の実費精算をして領収書を徴収すれば明らかですが、旅行クーポン券を支給するような場合は、旅行実績報告書(旅行日、旅行先、旅行会社への支払額等を記載)や旅行先を確認できる資料の保管が必要です。

(9)人間ドックの検診料

一定年齢以上の希望者全てを対象にしていれば課税を受けませんが、役員や特定に役職者だけを対象としている場合は、給与として課税を受けます。

(注)経済的利益の額とみなされる金額が、株主総会で定めた取締役の報酬の限度額を超える場合は、毎月同額であっても損金にはなりません。報酬額を定める場合には「経済的利益を含まない」旨を明記しておく必要があります。

大西 均総合経営研究所
公認会計士・税理士 大西 均

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