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2010年6月3日 更新 かがわ経済ナビ

役員と自社株式 自社株式について、前回の自社株評価に続き、今回は自社株を保有している役員との関係について整理してみました。

(1)オーナー役員と自社株式について

1. 自社株式の株高要因

  1. 利益率が良いため株価が高い
  2. 過去の剰余金が多く自己資本比率が高く株価が高い
  3. 配当率が高いので株価が高い
    など

2. 株高のための問題点

  1. 相続時に相続税負担が重い
  2. 後継者へ自社株を生前贈与しにくい
  3. 分散した株式の買い戻しが困難
  4. 自己株式として取得したいが時価での取得が困難
    など

3. 対策

  1. 生前贈与の活用

    ・暦年課税(毎年110万円の基礎控除の活用)
    ・相続時精算課税(株価が下がった時点での2500万円控除の活用にて大幅に贈与)

  2. 株価引下げ

    ・配当率の引き下げ
    ・含み損失の実現による臨時損失の計上(利益の減少、一時的赤字決算など)

  3. オーナー株式の一部分散化

    ・役員持株制
    ・従業員持株会の設立
    ただし、退任時や退職時での円満な買い取りの仕組みを構築しておかなければならない。

  4. 役員退職金の備え

    役員退任時(死亡退職金を含む)の退職金を十分に支給できるように資金手当てをしておく必要がある。自社での蓄積(特定預金など)、経営者向け保険、小規模共済などへの個人加入。このためには優良な企業として自己資金を潤沢に維持しておくことが望まれる。

  5. 事業承継税制等の適用の検討

    相続税、贈与税の納税猶予制度の活用も検討しておく必要がある。(2010年1月21号参照)

  6. オーナーによる持株会社化

    保有する自社株を持株会社へ移管(譲渡等)し、持株会社を通じて事業運営会社を支配する経営形態。持株会社へ移管する際の課税問題と買い取り資金対策は工夫が必要である。

  7. 同族会社からの脱却

    経営の根幹に係るテーマであるが、同族色を薄めた企業体を模索することも考えられる。

(2)オーナー以外の役員と自社株式について

1. 株式の取得

オーナー一族が30%以上の持株比率であれば、10%以下を目安に株式保有を検討することも考えられる。10%を超える場合は使用人兼務役員とならないので、給与の支給形態を見直す必要がある。
株式の取得価額は、会社が1割配当以下であれば、旧額面金額を参考に決定することができる。

2. 株式の売却

退任時においては株式を購入価格で売却することに同意を得ておく必要がある。円満な退任とならずに退職金や自社株式の買い取りでトラブルが生じた場合は、時価での株式買い取りを求められ争いとなる場合があるので、この点は慎重な対応が必要である。

(3)従業員持株会

従業員に経営参画意識を持たせ自社で働くモチベーションを高めるために、従業員持株会を設立する場合がある。この場合も株式買い取り価格と株式譲渡価格を一定に保つ必要がある。したがって、株式評価は配当還元方式とし、なおかつ配当比率を一定に保つ必要がある。
オーナーの株価対策のために従業員持株会を設立する場合は、持株会の仕組み(規約、構成員、株主総会への出席、決算書の開示など)を適正にし、会社の配当方針を明確にしておく必要があるので、安易に設立することは避けたい。

大西 均総合経営研究所
公認会計士・税理士 大西 均

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