本文へジャンプ

2010年7月1日 更新 動向リサーチ

「民事再生企業」の追跡調査(2000年度—2009年度)~「再生手続廃止」は5社に1社~ 民事再生手続の廃止率(廃止/手続)は全国平均19.2%、四国地区平均25.2%
都道府県別の全国トップは高知県(41.9%)、最低は石川県(8.8%) 香川県はワースト6位(26.5%)

2000年4月1日に民事再生法が施行されてから10年3月31日で10年が経過した。和議法に代わるものとして、債務超過前でも申請できるなど、破綻企業がより再建を目指しやすいようにスタートした。再建に向けた手続経過など、民事再生企業の10年間を追跡した。

民事再生法を申請した企業の約半数(45.9%)が「再生手続終結」にまで至っている。しかし、再建の見込みが立たず「再生手続廃止」となった企業も19.2%あった。5社に1社は民事再生終結にまで進めず「破産手続」へ移行するなど厳しい現実もうかがえる。

本調査は東京商工リサーチの倒産データのうち民事再生法7114件から算出、集計翌月以降の民事再生手続取下、棄却などの件数は反映していない。また、「和議法」や「銀行取引停止」などで既に集計済みの企業が後に民事再生法の適用を申請したケースは集計対象に入れていない。

民事再生の件数は徐々に減少

2000年4月から2010年3月までの全国総倒産件数は15万7342件。年度別では下表の通り、01年度の1万9565件をピークに減少傾向にある。このうち「民事再生手続」は施行翌年の01年度に942件と最多を記録したが、その後は総倒産件数に連動する形で徐々に減少傾向にある。総倒産件数に占める比率は、06年度の3.9%が最低、08年度が5.2%で最高だったが、毎年概ね4~5%の構成比で推移している。

一方「破産手続」は年々増加し、09年度には9964件(67.6%)を記録した。これは00年12月に東京地方裁判所で始まり、その後全国に広まった法人の小額管財手続も大きく影響しているとみられる。

民事再生手続の進捗(しんちょく)速度に変化

手続スタートから開始決定まで

平均すると初年度である2000年が最長の41.6日、その後は年々短くなり08年度には20日を下回った。最近は20日程度で開始決定が下されるようになっているが、手続を少しでも早めようとした結果と見られる。

開始決定から認可決定まで

毎年、平均日数は220~250日で、年度別の差は特に見られない。債権者との交渉をまとめるのに現状、概ね8カ月間かかっていることを反映している。

開始決定から廃止決定まで

平均日数は初年度が最長の609.9日。その後は年々短くなり07年度には200日台にまで短縮した。当初、鳴り物入りでスタートした民事再生手続も、年々その債権経過が思わしくない状況から、破産手続などへの移行の結論が早くなったと見られる。これは後に述べる再生手続廃止率の推移と、ある程度の連動性が認められる。

認可決定から終結決定まで

債務の弁済中であっても、監督委員が選任されている場合、裁判所は再生計画認可決定の確定から3年を経過すると「再生手続終結」を決定する。このため、「再生手続終結」の決定を受けた企業がすべて再建したとは言い切れない。さらに終結決定後に解散・清算・任意整理になったり、事業・営業譲渡により企業そのものが存続しないケースもある。しかし、平均日数は当初1000日近くかかっていたものが04年度には平均790.4日、06年度には同460.2日にまで短くなっている(07年度以降は3年未経過のため未検証)。

なお、認可から終結までの最短記録は、破産申請を取り下げたケースで17日、それを除くと22日であった。

開始決定後の廃止率

初年度は34.0%で最高、翌2001年度は26.5%に下がり、以降も20%台で推移している。開始決定が下されても、再建の見通しの可否を早いうちに判断し、再建不能を見極めるようになってきたようだ。

終結と廃止

この10年間で集計対象となった民事再生企業の総数は7114件、このうちほぼ半数となる3264件(45.9%)が「再生手続終結」にまで至っている。一方で、同様に「再生手続廃止」となった企業は1369件(19.2%)。およそ5分の1の企業は「再生手続終結」にまで駒を進めることができず、再生手続の取り下げ、申立ての棄却、破産手続などに移行している。

産業別状況

年度別の民事再生利用の産業の変遷に特徴がみられる。もともと製造業や販売業を想定して施行されたため、初めの2年間は製造業、建設業、卸売業がトップ3であった。しかし、2002年度からサービス業他が2番目に登場、03年度以降はサービス業他がトップを維持している。これは産業構造や倒産動向の変化に加え、再生が見込まれる対象業界の変化も反映しているとみられる。

民事再生の今後

民事再生法を申請した企業は、現状でもまだ多くが再建途上にある。だが、企業の扱い品や市場性などによりスポンサーの模索が続いたり、スポンサー無しでの自力再建を選択するケースもあれば、債務弁済を終了し再建を果たす企業も現れている。

リーマン・ショック後は、「不況型」倒産が8割弱で推移しスポンサー確保も難しくなっており、「民事再生廃止」によって約2割の会社が破産や解散・清算などに追い込まれている。

さらに、最近は事業再生ADRや企業再生支援機構など、事業再生への手法が多様化している。事業再生への選択肢が増える中、「再生手続終結」が半分にも満たない状況は民事再生法の存在意義が改めて問われていくかもしれない。

株式会社東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長 竹 茂和

ページ先頭へ

ページトップへ戻る