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2010年7月15日 更新 かがわ経済ナビ

豊かさの裏側にあるもの 香川は経済的に豊かな県だと思います。よく知られているように、1世帯あたりの預貯金残高は全国1位ですし、社会インフラも、道路舗装率99.9%に象徴されるように、総じて整備が進んでいます。しかし、ストックではなく、フローに着目して評価すると、違った姿が見えてきます。例えば、昨春以降の鉱工業生産指数の回復は総じて緩慢ですし、私どもの短観(企業向けのアンケート調査)でみても、このところ、景気回復局面での企業マインドの改善テンポが、全国に比べ緩やかなものに止まっています。

これには、人口の減少といった「構造的な要因」も影響しているでしょう。しかし、ストックの豊かさに安住して、時代の変化への対応が遅れてしまった側面もあるのではないでしょうか。また、金融機関が激しい融資・金利競争に忙殺され、企業に変革を促していく取り組みが十分でなかったことも考えられます。

いずれにしても、リーマンショック以降の急激かつ大幅な経済の落ち込みから漸(ようや)く這い出て、わが国経済全体が回復しつつある現在、世の中の関心は徐々に「成長」へと向かい始めています。個々の企業や地域の強みを活かして、次の時代に向けた成長の糸口を見出す「競争」が始まっている訳です。私どもも含め、公的機関でもそうした動きをサポートする取り組みが広がっています(前号では、徳増局長が、政府の「新成長戦略」を取り上げておられました)。

当地では、明治の中期、製塩業や製糖業の衰退で苦境にあった東かがわで、手袋産業が勃興(ぼっこう)するなど、構造改革・成長確保に前向きに取り組んできた歴史があります。また、栗林公園において増え続ける外国人観光客を念頭に、「外国語でおもてなしプロジェクト」が始まるなど、様々な取り組みも始まっています(そう言えば、中国人観光客数については、ビザの支給要件が緩和されるなど更なる増加が期待されますが、当地では街の案内版ひとつ取っても、中国語を併記しているものが少ないですね)。

是非アンテナを高くし、時代の変化に主体的に対応することで、豊かな香川を残し、発展させて欲しいと思います。

日本銀行高松支店長 中村 武

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