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2010年8月5日 更新 かがわ経済ナビ

地域力の結集で四国の未来を 三十年ぶりに高松で暮らしたこの一年間、四国各地で諸産業、地方自治体、金融機関、大学、医療・福祉施設などの多くの方々の話を聞いた。

四国を回り始めて、最初に感じたのが各地の移動時間の大幅な短縮だ。本四三架橋の時代に移り、高速道路の整備が進み、日帰りすることが多かった。

改めて感じたのが、平地が海際に僅かしかないことだ。吉野川から佐田岬へ急峻な中央構造線が貫き、太平洋まで高い山々が続く。唯一まとまった広さがあるのが讃岐平野だ。

西日本最高峰の石鎚山、その山頂はナイフで切り取られたように聳(そび)え、石鎚連山から天に透明な壁が伸びている。瀬戸内側が厚い雲海で覆われていても、太平洋側は快晴であったりする。その地形が自然を律し、水害に脅かされる地域と渇水に悩む地域を作っている。

このような四国山脈は高度成長期には四国経済が効率化社会になる妨げとなり、少子高齢化が全国よりも十年早く進む背景にもなってきた。

しかし、今、全体面積の七十五%を占める四国山脈の豊富な森林が、低炭素型社会の実現に欠かせない資源となろうとしている。リアス式海岸に黒潮の暖流が流れ込む宇和海はアジアで最適の養殖場と言われる。高知県の決して広くない平地が戦前からの温床栽培の経験と技術で新鮮な野菜を生産するなど、自然が特徴ある第一次産業の基盤となっている。

また、テレビドラマ「龍馬伝」「坂の上の雲」「ウェルかめ」の放映で再認識されているが、お遍路や金刀比羅宮参拝など、各地で築かれた独自の歴史や風土が大勢の人を引き付ける。

峰山の展望台や赤灯台によく通ったが、瀬戸内海は優しく、美しく、心を癒やしてくれる。

経済面では、自動車等輸出を主導する組立型産業の集積はないが、LED・リチウムイオン電池・炭素繊維など成長分野の製造拠点、大人用おむつやワクチン等医療・介護のトップ企業、造船・紙・パルプ・建設機械など強い技術の集積がある。

また、手袋・タオルの地場産業は早くからアジアに製造拠点を構築しており、産業のグローバル化は四国でも進展している。

政府が「強い経済」「強い財政」「強い社会保障」の一体的な実現を目指し重点的な財政・金融政策を進めて行く中で、四国地域が持つ産業、生活環境などの独自の力・魅力を活かした地域づくりの長期的な取り組みが重要だ。

地域分権は、地域の実情に即した的確な政策の実現のために期待されている。その実行には住民ニーズ・地域社会の課題の認識力、解決力が求められる。それらを背負う人材・仕組みも必要だ。産官学金等の連携、四国四県の一層の連携など地域力の結集が益々重要になっている。

前 四国財務局長 河野 邦明

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