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2010年8月5日 更新 かがわ経済ナビ

有価証券報告書を読む・・・・・・後を絶たぬ粉飾決算 株式上場会社は、金融商品取引法により有価証券届出書(新規上場等)あるいは有価証券報告書(継続開示)の提出を義務付けられており、投資家に向けて企業情報の開示を行っています。

(1)上場会社の企業情報開示制度

この企業情報は、企業の概況、事業の状況、設備の状況、提出会社の状況、経理の状況等からなり、監査法人または公認会計士の独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書が添付されます。

2010年3月期の有価証券報告書では役員の個別報酬(年1億円以上)の開示が義務付けられ、日産のカルロス・ゴーン社長が8.9億円、日本人では大日本印刷の北島義俊社長が7.8億円等200人超の役員報酬が開示されました。

有価証券報告書や有価証券届出書を閲覧する場合は、金融庁のHPにてEDINET(電子開示)の有価証券報告書閲覧コーナーで全ての上場会社が閲覧できます。

(2)最近の粉飾決算

2004年に発覚したカネボウやライブドア粉飾決算事件、香川県下では加ト吉の循環取引事件等が記憶に残っているところですが、最近では、マザーズ上場のエフオーアイの売上高の過大計上や東証上場のメルシャンの循環取引等が粉飾決算として報道されています。

1)エフオーアイの売上高の過大計上

1. 同社の決算の特徴点

貸借対照表(単位:百万円)
科目 2008年3月31日 2009年3月31日
売掛金 18,212 22,896
その他資産 4,684 6,282
資産合計 22,896 29,178
損益計算書
科目 2008年3月31日 2009年3月31日
売上高 9,497 11,856
経常利益 1,297 2,016
キャッシュフロー計算書
科目 2008年3月31日 2009年3月31日
営業活動によるCF △3,996 △3,551
投資活動によるCF △59 △92
財務活動によるCF 1,631 4,869

2. 監査報告書

2008年3月期、2009年3月期ともに適正意見でありました。

3. 私見

同社は、新規上場直前の2009年3月期の売上高118億円に対して100億円規模の粉飾決算があったとし、東京証券取引所は2010年5月18日にマザーズ上場廃止が決定されました。新規上場後半年後わずか半年後の上場廃止であった。同社の事業内容は半導体製造装置の要素技術の研究開発・製品開発・製造・販売である。売上代金の回収条件は、初号機の場合はプロセス・インテグレーション期間(1年6カ月から2年6カ月)終了後の売掛金回収と開示されているが、2009年3月期の売上高118億円に対して、売掛金229億円は異常な数値といえる。また、経常利益が計上されているにもかかわらず、キャッシュフロー計算書での営業活動によるCFは2年連続で大幅なマイナスとなっており、この点も異常な決算書と言わざるを得ない。にもかかわらず公認会計士の監査報告書は適正意見となっているので、監査が的確に実施されたがどうかの検証が今後なされるのは必定であろう。その後の新聞報道では、かなり作為的に取引の偽装や確認状の改ざん等が行われていたようです。

4. 投資家の注意

投資家は、自らの判断で決算書を分析し、異常点をある程度察知する知識が必要です。そういう意味では、新聞等で上場会社の粉飾決算の記事が目に留まれば、まず、EDINETで有価証券報告書を閲覧し、決算書の異常点を見つけるのも、財務分析の実践的トレーニングであるといえるでしょう。

5. 経営者にとって

このことは、経営者の財務に対する興味、知識、分析力を養うために好材料であるともいえます。同様にEDINETでの有価証券報告書等の閲覧を習慣化しておきたいものです。

2)メルシャンの循環取引

2010年6月12日の新聞報道によれば、同社の水産飼料事業で架空取引により売上高や利益をかさ上げする循環取引で2007年から総額約65億円の営業利益がかさ上げされていた。同社の連結損益計算書では営業利益は2008年12月期が6億7千万円、2009年12月期が5億6千万円であった。この循環取引がなければ両年ともに営業赤字の可能性もある。また損害の発生額がどの程度かは今後の全貌解明が待たれるところである。なお、監査は大手監査法人であるが、財務諸表監査及び内部統制監査ともに適正意見であった。

皆さんはどう分析されますか?

大西 均総合経営研究所

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