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2010年8月19日 更新 かがわ経済ナビ

京都企業にみる事業承継の秘訣 日本公認会計協会研究大会が、7月23日に京都にて開催されました。この研究大会は本部又は各地域会が中心となり全国規模で年1回開催されます。今年で31回となり、2003年7月には高松でも第24回研究大会が開催されました。

今回の研究発表の一つは、京都らしく「京都の事業承継成功の秘訣」というテーマがありました。創業180年の老舗「若林佛具製作所」の若林卯兵衛会長と、戦後ベンチャーの勇「堀場製作所」の堀場厚会長兼社長のパネリストとしての発表がありました。

その中で、参考になったことを幾つか列記しておきます。

(1)京都という「まち」が経営者親子を育てる。京都1200年の歴史の重みと良さ

「お父さんに宜しく」から息子自身が努力していく過程で、後継者として認知されていく。こうした環境をまち全体で醸し出しているというのである。温かくもあり厳しくもあり、歴史ある良き文化経済都市である。

(2)老舗企業と新興ベンチャー企業の棲み分け

京都の地場産業としての老舗企業と世界的企業(京セラ、ワコール、堀場等)が棲み分け共存している。
京都経済同友会から青年会議所に至るまで、異業種交流の良き場である。

(3)老舗、ベンチャーともに共通すること

1. 人を大切にすること

人脈、社員
熟練した技術の蓄積
これらの要素は、誰にも負けない品質の確保につながる。

2. スピリッツの承継

老舗企業としてはブランドを守り、新興企業としては自由な発想や研究開発精神等の経営理念や創業精神等が承継されていくことが大切である。

3. 軸がぶれないこと

前述したような経営に関する考え方の軸がぶれないことにある。
バブル経済時に京都の企業は、本業を忘れた不動産や株への投機はほとんどしなかったとのことでした。

では、事業承継を考える際に、留意すべきことは何でしょうか?
残すべきものと残してはならないものに分けて整理してみました。

1)残すべきもの

  • 魅力ある(収益力、成長力、安定性等様々)事業体
  • 財力(法人、個人)、日本の税制では相続税対策は必須
  • 事業の理念(経営理念、創業精神、社風など)
  • 事業の基礎(品質、技術)になる人財
  • 株式(経営支配権)
  • 信用(顧客、社員、地域社会、仕入先、金融機関、家族等)

2)残してはならないもの

  • オーナー親族間の争い事
  • 自力で返済できないほどの債務

その後の記念講演では「茶の湯の真髄」~精神の別世界に遊ぶ~をテーマとして、千宗守茶道武者小路千家第14代家元の講演会がありました。

京都平安の雅の時代から室町後期の茶室的侘び寂びへの変化に至る歴史的、文化的な変遷や、精神の別世界を求めての空間としての茶室と、茶室を政治的に活用した秀吉と利休等興味深い話でした。

最後に、京都市内を上空から見ると、「なんとお墓の多いことか」の一言は、私には印象深かった。

1200年の京都を舞台とした歴史、特に今は、坂本龍馬等幕末の志士達が活躍した時代を想うと、京都は歴史の積み重ねの「まち」であったことに、あらためて想いを巡らさざるを得ませんでした。

大西 均総合経営研究所

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