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2010年9月2日 更新 かがわ経済ナビ

未来への予兆を読むドラッカー いま、ドラッカーがブームである。直接のきっかけは、高校野球部にもしドラッカーのマネジメントを適用したらという想定でストーリーが展開される、いわゆる「もしドラ」と称されている小説だろう。主人公の女子マネージャーは、ドラッカーのマネジメントを参考にしながら、野球部にとって果たして顧客とは誰かということを考え抜き、その後マーケティングやイノベーションを実践してゆくのである。

このようにドラッカーの大きな魅力は、企業のみならず、病院や自治体、NPOなど、およそ人間が営む様々な組織で使えそうな汎用性の高さだろうと思う。野球部にまでマネジメントが適用できると思わせてしまう懐の深さが、ドラッカーの経営書には確かにある。

しかし私にとってドラッカーの最大の魅力はその未来志向性にある。ユニクロの柳井社長は、数多いドラッカーの本の中で最も頻繁に手に取り参考にするのは「イノベーションと企業家精神」だと言う。おそらくその本が未来への予兆を感じさせる気づきに満ちているからではないだろうか。

その中でドラッカーは、イノベーションや企業家精神は才能やひらめきなど神秘的なものとして議論されることが多いが、それらは体系的な仕事として捉えることができると主張する。イノベーションの遂行は誰にとってもリスクと不確実性に満ちた仕事なのだが、それを体系化できると言うのである。

そして体系化できるということは、教えることや学ぶことができるということを意味する。そのためにドラッカーは、イノベーションの7つの機会を提示し、7つに着目することで、イノベーションの機会を体系的に分析し見出すことができると言う。ご関心のある方は実際にこの本を手に取っていただきたいが、7つの機会に照らして自分の仕事や事業の環境を分析することで、未来の事業機会に関するひらめきが得られるのではないかと思う。

おそらく柳井社長もまた、事業の将来構想や方針に迷いゆきづまった時、この本に立ち返ることで何らかの洞察を得ていたに違いないのである。

香川大学ビジネススクール 教授 柴田 友厚

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