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2010年9月16日 更新 かがわ経済ナビ

管理職に「残業代は不要」と思っていませんか? 労働基準法第41条には、「管理・監督の地位にある者」は労働時間・休憩及び休日に関する労働基準法の規定は適用されないとされています。では、どんな肩書きであれば管理職には残業代(時間外手当)は不要になるのでしょうか?

通達では、「監督若しくは管理の地位にある者」の範囲について下記のように定めています。

一般的には、部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきものである。

(昭22.9.13発基17号、昭63.3.14発基150号)

適用除外になる判断基準をもう少し具体的に見ていくと、

1. 労務管理に関し経営者と一体的な立場にある

会社が人事管理上あるいは営業政策上の必要等から任命する職制上の役付者であれば、すべてが管理監督者として例外的取扱いが認められるものではありません。労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も労働時間等の規制になじまないような立場にある者に限られます。

2. 出社、退社について厳格な制限を受けない

会社においては、職務の内容と権限等に応じた地位(職位)と、経験、能力等に基づく格付け(資格)とによって人事管理が行われているケースが多いでしょう。このとき管理監督者の範囲を決めるに当たっては、かかる職位及び資格の名称にとらわれることなく、職務内容、責任と権限、勤務態様に着目する必要があります。

3. その地位にふさわしい待遇がなされている

管理監督者であるか否かの判断については、上記の他、賃金等の待遇面についても留意します。基本給や役付手当等においてその地位にふさわしい待遇がなされているか、ボーナス等の一時金の支給率、その算定基礎賃金等についても役付者以外の一般労働者に比し優遇措置が講じられているかなど留意する必要があります。

つまり管理職の肩書きについて、営業課長や総務課長代理など名称がついていても、実際の仕事は平社員とあまり変わらない、という名前だけの管理職には、この労働基準法41条に定める管理監督者には適用されません。名称にとらわれず、責任や権限、待遇などの実態で判断しなければなりません。となると、適用されるのは経営幹部クラスだけと思ってください。

2年ほど前に、日本マクドナルド事件判決(平20.1.28東京地裁)で、店長にも未払い残業代を支払う旨の判決が出て、「名ばかり店長」「名ばかり管理職」という言葉が巷をにぎわしました。その後、外食産業やソフト開発の会社などでも同様の訴訟が出て、同じような判決がなされています。単に「店長」という肩書だけで、時間外労働をしたにもかかわらず残業代を支払わないというのは認められないということです。「管理職になれば役付手当が残業代だ」と言うのであれば、きちんと就業規則に明記して従業員が納得の上でないと認められませんし、また残業代にあたる手当以上に残業したのであれば、やはり超えた分の時間外手当(残業代)の支払いは必要です。このあたりも会社の就業規則等できちんと対応しているかどうか、確認しておいてください。

最後に、たとえ労働基準法41条の管理監督者に当たるとはいえ、「年次有給休暇の付与」及び「深夜業における割増賃金」については、適用除外になりませんのでご注意を。

「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の具体的な判断要素について」
(平20.9.9基発第0909001号)

昭和22年9月13日発基第17号・昭和63年3月14日発基第150号において示された管理監督者の「職務内容、責任と権限」「勤務態様」「賃金等の待遇」について

  管理監督者性を否定する重要な要素 管理監督者性を否定する補強要素
職務内容、
責任と権限
  1. アルバイト・パート等の採用について責任と権限がない
  2. アルバイト・パート等の解雇について職務内容に含まれず、実質的にも関与せず
  3. 部下の人事考課について職務内容に含まれず、実質的にも関与せず
  4. 勤務割表の作成、所定時間外労働の命令について責任と権限がない
勤務態様
  1. 遅刻、早退等により減給の制裁、人事考課での負の評価など不利益な取扱いがされる
  1. 長時間労働を余儀なくされるなど、実際には労働時間に関する裁量がほとんどない
  2. 労働時間の規則を受ける部下と同様の勤務態様が労働時間の大半を占める
賃金等の待遇
  1. 時間単価換算した場合にアルバイト・パート等の賃金額に満たない
  2. 時間単価換算した場合に最低賃金額に満たない
  1. 役職手当等の優遇措置で、割増賃金が支払われないことを考慮すると十分でなく労働者の保護に欠ける
  2. 年間の賃金総額が一般労働者と比べ同程度以下である

上記を踏まえたうえで、他の要素も含め総合的に判断されます。

社会保険労務士 玉岡 智博

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