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2010年10月21日 更新 かがわ経済ナビ

退職時のトラブルと防止策 従業員より「有給休暇を消化したのち、退職したい」との申し出があった場合、会社はこの申し出を拒むことはできるでしょうか?有給休暇の取得は労働者の権利であり、労働基準法39条でも労働者がどのような目的・理由で休暇を取得するかについて制限を設けていません。したがって、申し出は断ることができないと思われます。

退職時の有給休暇の消化

また退職日までに年次有給休暇の取得ができなかった場合(退職などの理由により有給休暇が消滅するような場合)、残日数に応じて調整的に金銭の給付をすることは、事前の買い上げ※と異なり必ずしも労働基準法違反となるものではありません(※通達により、「有給休暇の買上げの予約をし、これに基づいて請求できる有給休暇の日数を減じたり、与えないことは法39条違反である」とされています)。

退職後の懲戒事由発覚

退職金の支給制限について、退職金規程に「懲戒解雇された者には、退職金の全部又は一部を支給しないことがある」と定めている場合が多いと思います。しかし、この条文だけでは退職後に懲戒事由が発覚した場合、退職金の返還を求めることは難しいと思われます。例えば「退職後に、在職中に懲戒解雇事由に該当することが発覚した場合、既に退職金を支払った場合は、その金額を返還請求できるものとする」という一文を加えることで、退職後に懲戒事由が発覚しても、退職金の返還を求めることが可能となります。ただし、このような規定があれば無条件に退職金を不支給にできるわけではありません。判例も、単に不支給の規定があるだけでは足りず、労働者の過去の勤続の功績を抹消ないし減殺するほどの「使用者に対する顕著な背信性がある場合に限る」としています(中部日本広告社事件 名古屋高判1990.8.31)。

突然の退職

従業員が突然「今日退職させてください」と申し出た場合、会社側としては受け入れなくてはならないのでしょうか?労働基準法にはそれについての定めがないので、民法の規定によることになります。民法第627条では「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申し入れの日から2週間を経過することによって終了する」と定めており、会社に退職の申し出をして2週間を経過すれば、会社側がこれを受け入れなかったとしても退職が有効に成立するということになるのです。労働者には、憲法により「職業選択の自由」が保障されているため、いつでも一方的に退職を申し出ることができますが、その日のうちに効力が発生するわけではないので、一定の期間が経過するまでは勤務してもらうことができます。ただし、これはその日がくるまで退職させてはならないという意味ではないので、本人が申し出て、会社側もそれに合意すれば、即日退職ということになっても差し支えありません。

大西 均総合経営研究所
税理士・社会保険労務士 折原 麻衣子

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